……こんばんは、朱雀です。
Fate/Zeroも今週で、第5話までの放送が行われました。
この5話でバーサーカーも登場し、ようやく全てのサーヴァントが出揃った事になります。
このバーサーカーは、何やらセイバーと因縁浅からぬ様ですが……楽しみは後に取っておく事にしましょう。
この期に及んで、Fate/Zeroの全話数について感想を述べるのも今更感が強いですので、当ブログではエンディングで「ランサーと一緒にいる女の子」について調べてみました。
偶然にもケルトのお祭りであるハロウィンの日にこの記事を書くのも、何かの導きなのでしょうか。
既にランサーの真名が判明しておりますので、そこから答えが導き出せました。
少女の名前はグラーニャ(Grainne)。
フィアナ騎士団の首領「フィン・マックール」の花嫁候補でありましたが、ディルムッドの魔法のほくろで恋に落ちてしまい、彼と共に逃避行を続けたとあります。
結局は捕まってしまいますが、ディルムッド共々許されました。
その後ディルムッドは正式にグラーニャを妻に迎えることが出来たようです。
ある日の深夜、ディルムッドは犬が騒ぐので起床します。そして周囲を探索中にフィン・マックールと遭遇し、「部下たちが野生の猪の足跡を見つけて夢中に狩りを始めてしまった」と報告を受けます。
ディルムッドの養父で魔術師(ドルイド)のアンガスは、彼に『決して猪と戦ってはいけない』と忠告していました。
なぜなら、『猪と戦う事で死亡フラグが立つ呪い』を掛けられていたからです。
(呪いの原因は、ディルムッドの父親の罪によるものでした)
しかしディルムッドは、アンガスの言う事を聞かずに巨大な猪と死闘を演じて深手を負い、動けなくなります。
近くに傷を癒す聖水が湧いているのですが、その水を汲みに行った人物がフィン・マックールであった事がディルムッドにとって最大の不運となりました……。
彼は愛するグラーニャを寝取られた恨みを忘れてはいなかったので、汲んで来た水をディルムッドの目の前で2度にわたって零してしまいます。
3度目にようやく溜飲の下がったフィン・マックールが戻って来た時には、ディルムッドは力尽きて死亡していました。
いつの時代においても、男女の怨恨による悲劇はあるものですね。
後日談として、グラーニャはフィン・マックールの後妻となっております……。
(※フィンの妻はグラーニャの妹です。つまり姉妹揃ってフィンの妻になったと言う事ですね。許すまじフィン)
夫の死の原因を知った彼女はフィンの求婚を拒み続けていましたが、それも時が経つにつれて薄まり、最後は和解して結婚してしまいます。
女心もまた、移ろい易いと言うことでしょうか。
セイバーとバーサーカー、セイバーとキャスター、切嗣とアイリスフィールと舞弥、ケイネス(ランサーのマスター)と許婚のソラウとランサー、雁夜と禅城葵など、今回のFate/Zeroは、ドロドロとした男女の関係も見どころの一つです。
ディルムッドは2本の槍以外にも、2本の剣を持っています。
エンディングでもちゃんと描写が成されています。(背中に1本と腰に1本帯刀しております)
一振りを「モラルタ Mor-alltach (大なる激情)」と言い、もう一振りを「ベガルタ Beag-alltach (小なる激情)」と言います。
ゲイ・ジャルグ Gae Dearg (赤槍)とゲイ・ボー Gae Buidhe (黄槍)の説明は、本編でセイバーによる詳しい解説がありましたので不要ですよね。
※Fate/Zeroにおいての記述は、ゲイ・ジャルグ(破魔の紅薔薇)とゲイ・ボー(必滅の黄薔薇)となっております。
この2本の剣は純粋に切れ味の良い大剣と小剣であったと思われます。
モラルタはあらゆる敵を一太刀で薙ぎ倒し、一刀両断に出来る業物で、ベガルタは注「小辻」「MacKillop」「Squire」といった、どのケルト民話の文献にも記述はありません。
あくまでも私の想像でしかありませんが、恐らく「射出式の機械仕掛け」がしてあったのではないかと推測します。
その理由は以下の文章から。
『ベン・グルバンの野猪との闘い』において、このような記述があります。
するとダーマット(ディルムッド)は我と我が身に言った。
「妻の忠告に従わなかった者に災いあれ! 今朝グラーニアはモラルタとガ-ジャルグを持っていけと言ったではないか。それなのに僕は彼女の忠告を無視して、ベガルタとガ-ボーを持ってきた」
それから白い指をガ-ボーの紐に入れると、注意深く狙いをさだめて猪の眉間に投げた。
だが無駄だった。槍は傷もつけず地に落ち、猪はかすり傷ひとつ負わず、剛毛一本乱れなかった。
これを見たダーマットは、ほんとうは恐れを知らない男なのだが少し勇気がくじけた。そこでベガルタの鞘を払うと、腕の力をふりしぼって猪の首を打った。しかしこんどもうまくいかない。刀は粉々に飛び散り、柄が手に残っただけだったが、猪は剛毛一本も傷つかなかった。
いまや無防備の彼にむかって、猪が突進してきた。
怒り狂ってまっしぐらに襲いかかり、彼を地面に押し倒す。そして向きなおると、牙でダーマットの脇腹を切り裂き、ものすごい深手を負わせた。ふたたび向きを変えて新たな攻撃をしようとした時、ダーマットが猪めがけて刀の柄を投げると、頭蓋骨を突き抜け、脳まで刺さって猪は絶命した。
(※上記原文は読点が多くて読みにくい為、修正いたしました)
喰霊-零-に登場した舞蹴拾弐號(まいけるじゅうにごう)のような剣であったと思われます。
槍を投げても、剣で打ち据えても、傷ひとつ負わせられなかった猪の頭部を貫通させるには、単に鞘を投げつけただけでは到底無理だったと思います。
ディルムッド自身も深手を負い、体力も削られた状態であれば尚の事です。
折れた剣を一度鞘に戻して、パイルバンカーのような感じで機械的に射出したと考える方が妥当な気がしますね。
技術的なことはこの際考えない事にしましょう(汗)
中々波乱に満ちた人生を送った英霊である事は間違いないようです。
英霊達の事を調べていく事で、より一層Fate/Zeroの世界を楽しめそうです。
【追記】
機械的に射出したと言うのも何だか夢の無い話ですので、もう少しファンタジーに則した推測をして見ましょう。
例えばアーサー王のエクスかリバーを収めていた『鞘』は、持つ者の傷を癒す魔法が施されていました。
もしかするとベガルタは、鞘にこそ特殊な魔力が施されていたのではないかと思われます。
(あらゆる物を貫く、又は粉砕する魔法が施された鞘だったのかも知れません)
何と言っても魔法や呪いが当たり前のように登場するケルト民話(神話)です。剣だけでなく、鞘に至るまでも魔法が施されていても何ら不思議ではありません。
記事を書いている内に、こちらの「魔法の鞘説」の方が自然に思えて来ました。
ディルムッドの身の危険を早くから知っていたアンガスが、予防策として鞘に魔法を施していたのかも知れませんね。
何と言っても養父ですから、義理とは言え息子の行く末が心配であった事は確かですから。
注「小辻」=小辻梅子訳編 『ケルト幻想民話集』 /社会思想社
「MacKillop」=James MacKillop著 Dictionary of Celtic Mythology /Oxford University Press,1998
「Squire」=Charles Squire著 Celtic Myth&Legend Poetry&Romance /The Gresham Publishing Company,
ディルモッド不幸すぎる……。

